ISO9001の品質マニュアルをたったの5ページに減らしたお話し

会社勤めをした経験がある人であれば、一度や二度はISO9001(品質マネジメントシステム)という言葉を聞いた事があるという人は多いのではないでしょうか?これは私が44歳の時1度目の転職をした際の転職先の会社での話です。

 

文書ファイルの山

 

そもそも転職先の会社へは、ISO9001の認証を取得する為の責任者という事で採用して頂きました。

 

(参考記事)44歳と48歳の時、簡単に再就職できた私の秘密とは?

 

ISO9001認証取得コンサルタント会社との決別

この会社に入って私が最初にやったことは、これまでこの会社を指導してきた認証取得コンサルタント会社がどのような事をやってきたかについて確認する事でした。

 

それで社内の責任者クラスである課長や係長に対して、担当部門としてISO認証取得のために何をやってきたのか質問してみたのですが、ほとんど全ての人が規格書の要求事項さえも理解していないどころか、コンサルタント会社の担当者に言われるがまま、ほとんど必要ないと思われるような多くの文書や記録類を作らされていたという有様でした。

 

そこで早速社長の所へ行き、現在契約中の認証取得コンサルタント会社が何をやってきたかを説明すると共に、即時契約を解除するようお願いしました。

 

今まで数か月間一緒にやってきたこともあってか、社長も少々戸惑われていらっしゃいましたが、認証取得のためには全く必要ない事を説明し、契約を解除して頂きました。(契約を打ち切る際には少々もめたようですが)

 

各部署の業務内容把握と責任者への教育

ISO認証取得コンサルタント会社との契約を解除した後は、全て私の責任で認証取得までやらなければなりませんでしたので、少々プレッシャーは感じていましたが、この年で採用して頂いた社長のためにもISOの認証を取得する事だけに集中して自分の責任を果たす決意を固めました!

 

当時私自身ISOに対して精通していたため何の問題もなかったのですが、以前勤めていた会社と比べて全く知らない仕事内容というのもありましたので、まずは全部門の業務内容の把握と共に可能な限り責任者クラスへの教育も同時進行で行っていくことにしました。

 

ところが、どの部署で話を聞いても文書化されたマニュアルの中に書かれた内容と実際の業務が大きく異なっていたのです。

 

ある部署では、作業者の方から「この記録は邪魔くさいし必要もないと思うがISOを取得する為には本当に必要なのか?」といった質問をされたほどでした。

 

文書体系の見直し

こんな事ではらちが明かないと考え、各部署の業務内容の把握は途中で切り上げ、既に文書化されたマニュアルの全体像を確認する事にしました。

 

なおその当時適応されるISO9001については、ちょうど1994年版から2000年版へ移行するタイミングになっていましたので、2000年版で取得を目指す事に決定しました。

 

*現在の最新版はISO 9001:2015(2018/10/18確認)

 

2000年版は、私が熟知していたものに新規の要求事項が追加されてはいましたが、要求内容の根管となる部分はほぼ同じでしたので、特に問題は感じませんでした。

 

*念のためISO9001:2000に関するセミナーは何度か受講させてもらいました。

 

早速、現状すでに作成されていた全ての文書を準備してもらったところ、おおよそ以下のような体系で作成されていました。

 

品質マニュアル(最上位の文書、ISO規格で作成する事が要求されているもの)

各種規定類(文書管理規定のような業務別・部署別の業務マニュアル)

各種業務手順書類(リーダーや作業者が使用する業務/作業手順書)

各種記録様式(業務/作業実施結果を記録するもの、規定や手順書に含まれる)

 

文書体系としては、上記のようなごく一般的なものでしたが、問題はその中身でした。

 

一部の部署を確認したところでは、かなり修正の必要がありそうなものばかりだったので、それまでの作戦を変更して上位の文書から実際の業務内容と照らし合わせながら、それと同時に文書改訂を行っていく事にしました。

 

品質マニュアルの大改造

という事で、最初は最上位の「品質マニュアル」からスタートしました。

 

その内容を確認すると、50ページ以上はあったと思いますが、他の会社でも良く見かけるようなISO9001の要求事項一つ一つに対してうちの会社はこうします的な、全く必要ない文章の羅列でしかありませんでした。

 

ひどいところでは、「○○しなければならない」という要求事項に対して「○○します」といったオウム返し的なものまで数多く見受けられました。

 

ネット上を検索してみたのですが、いまだに分厚い品質マニュアルを作成している会社が数多く存在しているようで、規格書の要求事項一つ一つに対して、この要求事項に対してはうちの会社ではこのようにして要求事項を満たしています的な馬鹿げた事がやられていたようでした。

 

以前の会社で、ISO審査官の方と話をしたことがあるのですが、多くの認証取得コンサルタント会社が上記のような事をやらせていて、有ろうことか認証審査官の中にまで酷い審査官になると、「俺の言ったとおりにしていたら合格させてやる」的な人までいるようなことを仰っていました。

 

早速現状の品質マニュアルを規格の要求事項や業務内容に合わせて全面改訂したところ、最終的には表紙を含めて5ページ程度までに減らすことができました。

 

この時、社長や部門長からは、これまでのコンサル会社とはあまりにも違うやり方だった為、「こんなことをやって本当に認証取得ができるのか?」という心配の声も数多くあがりましたので、

 

・私はISOの審査官よりも規格の事を深く理解している。(ちょっとハッタリあり)

 

・もし最初の審査で取得できなかったら、責任をとって即退職します。

 

という2点を断言し、私のやり方についてくることに同意してもらいました。

 

会社がちょっと田舎の方にあった事もあってか、初めて予備審査(今もこのシステムがあるかは不明)で来られた審査官の方からは「このあたりの会社でこんな薄っぺらい品質マニュアルを見たのは初めてです。」と言われました。

 

その時同席していた社内の人たちは「やっぱり駄目だったんだ!」といった感じで真っ青になっていましたが、審査官からそのあとすぐに「しかしISOの要求事項はしっかり満たしていますよ。」という言葉を頂き、一同ほっとした様子で信じられないような顔つきをしていました。

 

そういういきさつもあって、その後は社長をはじめ全ての従業員が100%私の言う事を信じてくれたので、後の作業はとんとん拍子に進み、本審査も無事に1回で合格し晴れてISO9001の認証を正式に取得する事が出来ました。

 

その際社長からは、ご褒美としてウン十万円も頂くことが出来ましたとさ。

 

めでたしめでたし!

 

追伸.この記事を書いている時にISOに関していろいろと調べてみたのですが、今現在でも認証取得に苦労している会社や膨大なマニュアルのせいで逆に業務に支障をきたしている会社などもあるようでビックリしました。

 

なおコンサルタント会社では、「品質文書のスリム化」をうたい文句にしているようなところも増えてきているようなので、少しは進歩してきているようですね。

 

最後に私からの提案なのですが、ISOはその認証を維持していくだけでも結構な費用が必要ですので、特に中小企業については自社の運営に対してISOを取得する事が本当にプラスになるのかという視点から、もう一度考え直して頂ければと思います。(取引先から認証取得を義務付けられているところはどうしようもありませんが)

 

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